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「一生、この子と生きていく」妊娠中に“水頭症”と告げられた我が子・・・4歳の今、成長の日々と新たな一歩

Автор: KUTVテレビ高知

Загружено: 2023-11-28

Просмотров: 254037

Описание: 特集は生まれつき「水頭症」という病気がある、4歳の男の子についてです。知能・身体の発達スピードに遅れが出るというこの病気ですが、男の子は一歩ずつ、でも確かに、成長を続けています。両親から、保育園などから、あふれるくらいたくさんの愛情を受けながら生きる、男の子の日々です。

10月28日。高知市の県民文化ホールでドラマ「らんまん」のコンサートのリハーサルが行われていました。

会場に入ってきたのは、4歳の永野蒼(ながのあおい)くんと、お母さんの夏帆(かほ)さん。少し緊張した様子で歩みを進めています。


コンサートの公演は翌日。前日のリハーサルに障がいや病気などでケアが必要な医療的ケア児の家族の会、「結人(ゆいと)」が招かれたのです。

蒼君は、生まれる前から「X連鎖性遺伝性水頭症」という病気を抱えています。脳の回りに溜まった水で脳が圧迫され、知能・身体の発達スピードに遅れが出るとされている病気です。

(母・永野夏帆さん)
「(20週目くらいの時に)脳内の『脳室』が、水でどんどん拡大されて、(エコー画像で見ると)脳内が水で真っ黒になってしまっているのが、少しずつ明らかになってきて、『どうしたら、この子の命が健康だったんだろう』とそんなことを思ってた」

なぜ、わが子が。妊娠中、そんな気持ちにさいなまれた母、夏帆さん。息をするのも苦しく、通院中は終始無言で、蒼君と対面することも恐れていたといいます。

2019年6月、香川県の病院で、帝王切開で蒼君を出産。蒼君は、生後3日で頭の手術を行いました。「何かを口にしたい」という意識が芽生えず、母乳も吸えません。当時は小さな身体に管を通して栄養を補給していました。

(母・永野夏帆さん)
「自分だけ止まっている。社会は普通に回っているけど、自分だけが止まってて、スーパーに行っても、公園に行っても、赤ちゃんを抱っこするお母さんを見る、手をつないで歩いている家族を見る、それだけで『自分は全然違う世界にいるんだ』って突きつけられたような気持ちがして、家から出たくない時期もすごく多かった。私はこの子を育てることはできないって思っていた」


そんな夏帆さんの気持ちを変化させたのは、蒼君でした。「何があってもこの子と生きていく」とそう、覚悟を決めた瞬間があったといいます。

(母・永野夏帆さん)
「(医師に)『息子の首が据わったね』って言われたときに、『もう私はこの子と生きていくしかないんだな』って。一生できないかもしれないと言われて、あきらめたことを成し遂げたというので、すごくうれしかった。『もう私はこの人を自分のそばから離してってことは絶対考えられない』と思ったのは、息子の『成長』を先生が言ってくれた時だった」

この子は、成長している。当たり前のようで、でも、とても大きな事実。発達のスピードは他の子どもたちと違えど、蒼君の家族は共に毎日を生きます。

(父・永野孝幸さん)
「絵本とか結構好きで、ずっとこの状態で読んだり…」

父の孝幸さんも、蒼君を愛し続けています。

家族の様子を撮影しているときでした。

(蒼君)
「ママ」
「パパ」

医師から言葉をどれほど喋れるかは分からないと言われていた蒼君ですが、つい最近、「パパ」と「ママ」が言えるようになったといいます。

(父・永野孝幸さん)
「子供が生まれたら“お父さん、お母さん”で呼んでもらいたいと思っていて、“ママ、パパ”って呼んでもらうのは恥ずかしいと思っていたけど、『この子がいつになったら喋れるかな』といろいろ考えてたら、『ママでもパパでも呼び名はいいから呼んでもらいたい』と思って、一生懸命『パパ、パパ』と言っていた」

(母・永野夏帆さん)
「パパは泣いてました」

(父・永野孝幸さん)
「初めて聞いた時涙が出た。その日のあとから『パパ、パパ…』ってめっちゃ言えるようになった。話せると思わなかったので感動しかなかった。そんな日が来るとは思わなかった」

蒼君は生後10か月のころから、高知市の一宮保育園に通っています。4歳までの子ども1000人あたりで見たときに、障がいがある子どもを受け入れる保育所の数が全国で一番多い高知県。園児たちはみんな、蒼君のことが大好きです。

リズムに合わせた遊びでは、おともだちが蒼君の手を取ります。蒼君も、みんなのことが大好きです。

(一宮保育園・特別支援担当保育士 岡林小百合 先生)
「“蒼君くんは蒼君や”っていうのがある。みんなが蒼君が大好きで、蒼君に対して優しい。蒼君中心でいてくれるので、和気あいあいと。蒼君も友達が好きなので、近くに来てくれたらすごく笑顔になる」

園には、蒼君のサポート専門の保育士がいて、装具の取り付けや食事の手伝い、また、友達とのコミュニケーションの手助けもしています。そばで蒼君を見ている保育士も、日々、蒼君の成長を感じているといいます。

(一宮保育園・特別支援担当保育士 岡林小百合 先生)
「一人でこうやって長時間座れることが(以前は)難しかったけど、出来だしたり、歩行器も長時間スムーズに乗ることが難しかったけど、そこが成長ですかね。いろんな表情を見せてくれるようになった。身長も高くなって『お兄ちゃんになったね』ってみんなに言われる」

自宅でも、保育園でも、みんなに囲まれて、毎日が楽しい蒼君です。

蒼君たちが招かれた、コンサートのリハーサルの日です。この日はハロウィンのイベントもあり、仮装もしました。

(母・永野夏帆さん)
「楽しみにして来ました。車の中でも音楽をいっぱいかけてフリフリしながら来ました」

母、夏帆さんは、蒼君を連れての外出に、どこか抵抗を感じてきたといいます。買い物も、もちろんコンサートも。

(母・永野夏帆さん)
「イオンひとつ行くのも諦めてしまいそうな気がする。だからこうやって機会をいただいて、ちょっとずつ前を向いていくことが“息子と本当に生きていく”っていうことになると思うので、そういう機会をいただけたのはありがたい」

あれれ、蒼君。心地よい音色で、夢の中にいっちゃいそう。

「この機会が蒼君と一緒に生きていく一歩になれば」。

30分という限られた時間ではありましたが、蒼君と夏帆さんにとっては大きな、大きな一歩でした。

(母・永野夏帆さん)
「興味津々でワクワク、ニコニコ聴いていたので私もすごく嬉しかった。『あおくん(蒼君)がいたから私もこんな機会に巡り会えたのかな』ってちょっとウルウルした」

(公開リハーサルへの招待を企画 山下俊輔さん)
「『もしかしたら人生の中で生の音を聴けないかもしれない』という話を聞いて絶対生の音楽を、生のオーケストラの音を聴いてもらいたいという思いで招待した。みんなが喜んで手を叩いてくれたり、すごく笑顔になってくれたり、いろいろな表情を見せてくれてめちゃくちゃうれしかった。“今生きちゅう”って感じることを数分の中で感じてもらえることが音楽の魅力なので、そういった活動をこれからも広げていきたい」

共に生きていることに幸せを感じながら毎日を過ごす、蒼君と両親。

最近、ちょっと悩みがあるそうで・・・

(父・永野孝幸さん)
「デイサービスの方々に『蒼君ちょっと食べる量増えてきて料金が増えますけど』って。結構短いスパンで言われる。この前言われたばっかりやけど、また!?みたいな」

少しずつ、でも一歩ずつ、確かに成長しながら、蒼君は、みんなと生きていきます。

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