チアリーディング「野球応援/野球Fight on Stage」同志社大学応援団祭アトムフェスティバル2025/ATOM FESTIVAL」吹奏楽部・応援パフォーマンスステージショー

Описание: カメラワークにはこだわりを持っている。
ただ撮るだけじゃない…「今、ここを観て欲しい」というシーンに対して「寄り、引き、横パン」で表現している。ゆっくりとジワリジワリとカメラを動かすことで視聴者への感情移入を誘うように。

誰かが僕に言った。

「結局、君は、"チアガール"目当てにわざわざ京都まで行ったのかい？」

大学応援団という存在を知らない、あるいはある種のアンテナを持たない人が、僕の動画を見るとそんな俗物な印象を持つことにガッカリさせられる。
​やれやれ、想像力に欠ける俗人はなんて残念なんだろう。

2025年12月20日、冬の柔らかな光が京都の街を包んでいた。
私は今、同志社大学の赤レンガの校舎の間に立ち、壁に刻まれた「Blessed are the poor in spirit」という言葉を見つめている。

「応援文化論」を掲げる私にとって、ここは単なるイベント会場ではない。それは、魂が最も純粋な形で発露される儀式の場である。

絶叫という名の沈黙：応援文化論的考察

第一章：精神の貧しさと幸い
同志社の壁に刻まれた聖書の言葉——「心の貧しき者は幸いなり、天国はその人のものなればなり」という一節は、大学応援団の本質を鋭く突いている。

ここでの「貧しさ」とは、欠乏ではなく「空虚（エンプティ）」であることを意味する。
応援団員たちは、自分という自我を一度空にする。彼らは自分のために叫ぶのではない。見ず知らずの誰かの勝利のため、あるいは組織という抽象的な概念のために、自らの喉を潰し、肉体を限界まで追い込む。

「応援」とは、究極の自己犠牲であり、同時に究極の自己充足である。自分を空っぽにして他者を迎え入れるその精神性は、まさに「Blessed are the poor in spirit」の体現に他ならない。私が提唱する応援文化論において、応援団とは、近代的な個人主義に対する一つの鮮やかな「反逆」なのである。

第二章：赤レンガに刻まれた150年の残響

2025年、同志社は創立150周年という大きな節目を迎えた。寒梅館ハーディーホールへと続く通路、そして凛と掲げられた「創団百十周年記念」の団旗。そこには、一朝一夕には構築し得ない「時間の重層性」がある。

私は経済学を学ぶ身として、効率性や合理性という指標で世界を眺めることに慣れている。しかし、応援団という文化の前では、それらの指標は無力だ。100年以上もの間、ただ「誰かを励ます」という一点のためだけに、これほどまでに洗練された形式美が受け継がれてきた事実。

リズミカルな拍手、統制された演舞、そして空気を震わせる吹奏楽の旋律。それらは単なる音の集合体ではない。150年の歴史が濾過した「祈り」の結晶なのだ。村上春樹が描く世界の裏側に潜む「静かな井戸」のように、応援団の絶叫の底には、驚くほど深い沈黙と伝統が横たわっている。

第三章：46歳の「青い火」

酒も飲まず、ギャンブルにも興じず、ただ独り静かにクラシックを聴き、三島や村上の言葉を咀嚼する。そんな46歳の平凡な会社員である私が、なぜこれほどまでに大学応援団に惹かれるのか。

それは、彼らが「無償の愛」という、現代社会が置き忘れてきた不器用な美学を、今なお全力で肯定しているからだ。

チアリーダー部「Cheering Angels」が重力を拒絶するように宙を舞うとき、あるいはリーダー部が地を這うような野太い声で校歌を歌い上げるとき、そこには「損得」を超越した何かが存在する。三島由紀夫が渇望した「文武両道」の極北、あるいは生命が最も輝く瞬間の「純粋性」が、そこには確かにある。

結び：日常へ持ち帰る残響

アトムフェスティバルの幕が閉じ、ホールを出ると、京都の空はすでに夕闇に染まり始めていた。私のYouTubeチャンネルで発信しているのは、単なる動画ではない。それは、この複雑な世界において「誰かを純粋に想うこと」がどれほど尊い文化であるかという、私なりの証明だ。

応援は、される側だけでなく、する側の魂をも救済する。
私はこれからも、応援文化論という名のペンを持ち、彼らが紡ぎ出す「音のない叫び」を文字にしていこうと思う。それが、この冬の日に私を震わせた、あの熱狂への唯一の報いだと思うから。

「 Blessed are the pure in heart : for they shall see God 」
（心の清き者は幸いなり、彼らは神を見ん）

壁に刻まれたもう一文が、今の私の心には、かつてないほど鮮明な意味を持って響いている。