ほほえみうつ病について精神科医が解説します。
Автор: 精神科医 芳賀高浩
Загружено: 2025-12-28
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こんばんは、精神科医の芳賀高浩です。今日は「ほほえみうつ(スマイリング・デプレッション)」についてお話しします。
ほほえみうつとは、外から見るとニコニコして元気そうに見えるのに、内面では強い抑うつを抱えている状態を指す“俗称”です。学術的な正式診断名ではないので、「ほほえみうつと診断された」という形にはなりません。ただ、うつ病の苦しさを端的に表す言葉として広く使われています。
うつ病は、生涯でおよそ10人に1人が経験すると言われます。ただし「完治して完全に無縁になる」というより、条件がそろうと再燃しやすい“気質・脆さ”が残りやすい病気でもあり、治療のゴールは「再発を予防し続けること」になります。
うつが最重症になると、表情を作るエネルギーすら枯渇して表情が固まる「仮面様顔貌」や、思考の回転が落ちて止まってしまう「思考停止」が目立ちます。一方で軽症〜中等症の段階では、つらさを周囲に表現できる人もいれば、逆に“隠してしまう人”もいます。後者が、会社では笑顔で頑張れるのに、家に帰ると完全に力が尽きて動けない——こういう状態が「ほほえみうつ」と呼ばれやすいのです。
そして、ここが一番つらいところです。人前で笑顔を作れてしまうと、周囲は「元気そうじゃないか」「本当にうつなの?」と誤解しやすい。本人は“心配をかけたくない”一心で虚勢を張っているのに、その努力が裏目に出て「サボっている」と見られてしまうことがあります。
似た言葉に「新型うつ」「非定型うつ」という俗称もあります。こちらは「負荷のかかることはできないが、好きなこと(趣味・レジャー)はできる」という側面が切り取られやすい概念です。ほほえみうつは「人前では頑張れてしまう」に焦点が当たり、新型うつは「好きなことはできる」に焦点が当たりやすい。どちらも重症化すれば、趣味すらできなくなり、結局は同じ“うつ病の重症化”に近づいていきます。
では治療はどうするか。基本は、通常のうつ病と同じで大きく3本柱です。
1つ目は薬物療法。抗うつ薬は短期的にはセロトニン系に作用し、時間をかけて脳の回復(BDNFなどを介した神経可塑性)を後押しします。適応がある方は、しっかり検討していい治療です。
2つ目は生活習慣。睡眠リズム、栄養、運動。人間は“動くことで整う生き物”なので、可能な範囲で体を動かす習慣はとても大事です。
そして3つ目が、ほほえみうつで特に重要になりやすいカウンセリング(認知行動療法的な関わり)です。
ほほえみうつの核には、「弱音を吐くと迷惑」「心配されるのが怖い」「頼ったら嫌われる」という認知が潜んでいることが多い。けれど、現実には、真面目な人がやっと弱音を吐いてくれたら、多くの人は「言ってくれてよかった」と受け取ります。ここには“認知のゆがみ”が混ざっていることがあるので、メタ認知(立場を入れ替えて考える練習)で少しずつ修正していくのが有効です。AI相手でも練習になりますし、可能ならカウンセラーと一緒に、状況別に丁寧にやっていくとより確実です。
もう一つ大事なのは「アピールのバランス」です。過剰な訴えも人間関係を壊しますが、アピール不足は“助けが届かない”という形で人生がハードモードになります。自分が「言い過ぎる人」なのか「言わなさ過ぎる人」なのかを客観的に点検し、真ん中に寄せていく。これも立派な認知行動療法です。
まとめます。
ほほえみうつは正式な病名ではありませんが、軽症〜中等症のうつ病が「人前では元気に見える」という形で現れる状態をうまく言い表した言葉です。日本の「弱音を吐かない」「迷惑をかけない」という価値観とも相性が良く、誤解されやすいぶん、本人も周囲も“見えにくい苦しさ”を理解し合うことが大切です。治療は通常のうつ病と同じく、薬・生活・カウンセリング。特に「助けが届く程度に、適切に言語化する」練習が鍵になります。
最後に、死にたい気持ち・希死念慮で苦しい方に向けた私の本も、必要な方に届けばと思っています。
今日もありがとうございました。精神科医・芳賀高浩でした。明日も19時にお会いしましょう。ではまた。
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