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人の命って、人の価値って平等なのか精神科医が考えます。24分動画

Автор: 精神科医 芳賀高浩

Загружено: 2026-02-08

Просмотров: 4458

Описание: こんばんは。精神科医の芳賀高浩です。

今日は、「命って平等だと思いますか?」という問いを、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。なぜこの話をするのかというと、精神科の診療の中で「自分の命は軽いんじゃないか」「自分が生きていても意味がないんじゃないか」と悩まれている方に、私は何度も出会ってきたからです。そして実際に、外来で患者さんとこのテーマを議論しながら、私自身も考え続けてきました。今日はその“途中経過”を、できるだけ正直にお話しします。綺麗事でまとめるつもりはありません。ただし、誰かを切り捨てるための議論でもありません。そこは最初に強調しておきます。

外来で、こんな方がいらっしゃいました。「働きたくて、働きたくて仕方がない」とおっしゃる。でも、具体的にどんな仕事をしたいのかはまだ言語化できていない。ただ「このままだと自分には価値がない気がする。生きていても無意味な気がする。だから働きたい」と言われるんです。その方は生活保護を利用されていました。私はまず、「担当者から早く抜けるようにプレッシャーを感じていますか」と聞きました。すると「全くない。担当者はむしろ親切だ」と。次に「世間の目が気になりますか」と聞いても、「引きこもり気味だから、圧を感じる場面もない」と。

つまり、“外から押されている”わけではない。なのに、ご本人の中で「働いていない自分は価値がない」という感覚が、強烈に燃えている。そこで患者さんがふと、こう聞いてきました。「先生、私って生きてる価値あると思いますか。働かないで引きこもっている自分に、生きてる価値があると思いますか」

この質問に、私は時々あえて、逆説的に答えます。「あなたに生きてる価値はないと思います」と。さらに続けて、「ちなみに私にもない」と言うんです。もちろん相手は驚きます。「先生は患者さんを助けている。価値がある。私とは違う」と言われる。そこで私は、こう返します。「いや、違わない。私は、人類そのものを“地球にとっての加害者”だと思っているところがある」と。

人間は二酸化炭素を増やし、化石燃料を掘って燃やし、海を汚し、プラスチックをばら撒き、便利さのために自然を削り、時に取り返しのつかない土地も作ってしまった。もちろん、すべての人が同じ程度に関与しているわけではない。でも“人類全体”として見たとき、地球環境に負荷をかけ続けているのは事実です。だから私も、あなたも、完璧に「尊い存在」と胸を張れるほど立派ではない。そういう意味で、「価値がある・ない」で人を測り始めると、私もあなたも簡単に“価値がない側”に転げ落ちる。だから私は、価値という物差しに過剰に縛られてほしくない、という意図で、あえてそう言うことがあります。

ここで一つ大事なことを言います。「価値」と「尊厳」は違います。価値は、誰かの物差しで測られ、状況で変わり、比べられます。昨日は役に立ったけど今日は役に立たない、若い頃は期待されたけど今は期待されない――そんなふうに揺れます。でも尊厳は、本来、揺れない。自分で稼げるか、誰かに好かれているか、社会的に評価されているかとは別のレイヤーにあります。精神科外来で「価値がない」と苦しんでいる方の多くは、実は“尊厳の話”をしているのに、“価値の話”に引きずり込まれている。私はそう感じることが多いんです。だからこそ、私は一度、価値という土俵そのものを崩して、「先生にもない」「じゃあ私もあなたも同じ場所に立とう」と言いたくなることがあります。

ただ、ここから先が今日の本題です。命は平等か。結論から言うと、私は「世の中の実感としては、命は平等じゃない」と思っています。

たとえば、同じ状況で「どちらか一人しか救えない」と迫られたとき、多くの人は選びます。未来のある高校生が倒れている。もう一方には、90歳で肺炎で苦しんでいる方がいる。どちらを先に救うか。多くの人は高校生を選ぶでしょう。では「若い方が常に優先なのか」と言うと、そう単純でもない。重い障害があり常に介助が必要な15歳と、幼い子どもを育てている30歳の母親。どちらを救うかと問われると、母親を選ぶ人が多いかもしれない。あるいは、社会的に孤立して昼夜逆転で暮らしている40歳と、従業員に慕われ責任を担っている60歳。そういう比較を提示すると、人は頭の中で勝手に“価値の査定”を始めてしまう。これは綺麗事を言っても、なかなか消えません。

ここで私は、差別を肯定したいわけではありません。むしろ、こういう査定が人を苦しめるから、精神科の外来には「自分は価値がない」と訴える方が来るんです。ただ、社会の空気として「命の価値は同じだ」と言い切ると、現実の感覚とズレてしまい、話が進まなくなる。だから私は「人は瞬時に序列を想像してしまう」という事実を、まず認めておきたいんです。表面だけ取り繕って「平等、平等」と言って終わる議論は、私は正直あまり好きではありません。綺麗な言葉で蓋をすると、苦しんでいる当事者が「じゃあ、私が価値がないと感じるのは私のせいなんだ」と、さらに自分を責めてしまうことがあるからです。

美醜の話も似ています。表向きは「好みは人それぞれ」「みんな可愛い、みんな素敵」と言う。でも現実には、社会には“選ばれやすい見た目”があり、芸能界やモデルの世界では特にそれが露骨に反映されます。好みの差はあっても、「多くの人が美しいと感じやすい特徴」は確かに存在する。命の価値の議論も、それに似た構造がある。人は内心では尺度を持っているのに、表面では「平等だ」とだけ言って終わらせる。私はその“取り繕い”が、当事者を余計に孤独にすることがあると思っています。

ただし。ここからが、私が日本という社会に対して「まだ救いがある」と感じている点です。

人は日常の場面では、命に優劣をつけるような発想を持ってしまう。けれど「今まさに命が危ない」という状況になると、多くの人は、その人の肩書きや過去や、生活状況をいったん横に置くんです。

救急車がサイレンを鳴らして走ってきたら、国会議員の車でも、大企業の社長の車でも、そして私のような普通の車でも、みんな道を譲ります。救急車に乗っている人が、ホームレスであろうが、生活保護利用者であろうが、精神疾患があろうが、高齢者であろうが関係ない。「命が危ないなら先に行ってくれ」と、わりと自然に思える社会なんです。

電車の中で誰かが倒れて、救護のために電車が止まる。何千人が急いでいるかもしれない。それでも多くの人は、「仕方ない」「命の方が大事だ」と受け止める。道端で人が倒れていたら、見て見ぬふりをせず、声をかけたり、救急要請をしたりする人が一定数いる。そして、もし「少しのお金で助かる」と言われたら、心よく差し出す人もいる。こういう行動の根っこには、「命の危機は放っておけない」という共通感覚があると思います。

もちろん、現実には救えない命もありますし、地域や状況によって差もあります。災害の現場では、資源が足りず、トリアージをせざるを得ない。赤・黄・緑・黒と分類し、同じ緊急度の人が複数いるとき、年齢や回復可能性、治療に必要な資源の量などを考えて優先順位をつける。ここで大事なのは、本来トリアージは「社会的に偉い人から救う」という発想ではなく、「救える命を最大化する」「今介入すれば助かる人を優先する」という現場の合理性から生まれている、ということです。それでも選ばざるを得ない瞬間がある。そのとき医療者が背負う葛藤は、本当に重い。普段の医療では避けたい“神様みたいな選択”を、現場は背負わざるを得ない。私はその話を聞くたび、胸が苦しくなります。

それでも、日本の日常に目を戻すと、命の危機に対して「その人がどんな人か」に関係なく、一定の敬意や哀悼が払われる場面がある。

最近、代々木公園で、ホームレスと思われる方が小屋の中で火災に遭い亡くなったというニュースを見ました。私は正直、恐る恐るコメント欄を見たんです。ネットは人の悪意が噴き出す場所にもなり得るからです。ところが、そこには「ご冥福をお祈りします」「お疲れさまでした」といった言葉が多かった。もちろん、すべてが善意とは限りませんし、社会の冷たさが消えたわけでもない。でも、「誰かが亡くなった」という事実に対して、背景に関わらず哀悼する人が一定数いる。それを見て、私は少し安心しました。

だから、私の答えはこうなります。
命は、社会の実感としては平等ではない。人は比較し、序列を想像し、価値を測ろうとしてしまう。けれども、「命そのものは大切だ」「命の危機には手を差し伸べたい」「亡くなった命には哀悼を捧げたい」という感覚は、少なくとも日本では、一定の共通基盤として存在しているように思う。つまり、「尊いと思われる」という点では平等に近いけれど、「どの程度そう感じるか」には揺らぎがある。綺麗事を抜きにすると、私はそんなふうに整理しています。

私は精神科医として、患者さんにどうしても思い入れを持ってしまうタイプです。毎週、毎月、顔を合わせると、ただの“症状”ではなく、その人の人生の一部を一緒に歩いている感覚になる。だからこそ、もし不幸にもその方が亡くなるようなことがあれば、私は本当に悲しい。そういう自分だからこそ、「命って平等なのか」「自分の命に価値があるのか」という問いに、逃げずに向き合っておきたいんです。

そして最後に、今これを見ているあなたへ。もしあなたが「自分は価値がない」と感じているなら、その苦しさは、あなたが怠けているからでも、根性がないからでもなく、社会の物差しがあなたの心の中に入り込んで、あなたを殴っている状態かもしれません。治療や支援は、その物差しを少しずつ外に置き直していく作業でもあります。あなたが存在することの“尊厳”は、本当は、成績や収入や肩書きで決まりません。そこだけは、私は医師として、はっきり言っておきたいです。

みなさんは、どう考えますか。盲目的に「神のもとに人は平等だ」と言う考え方もあるでしょう。それを否定するつもりはありません。ただ私は、現場の実感と、社会のリアルと、そして“それでも命を大切にしたい”という希望の両方を、同時に握っていたいと思っています。

よかったらコメントで教えてください。私はこう思う、ここが違う、こういう視点もある――どんな意見でもかまいません。皆さんの言葉は、診療の現場で悩んでいる誰かの救いになることがあります。

そして、もしよろしければ、拙著『私の中の希死念慮ちゃん』も手に取っていただけたら嬉しいです。死にたい気持ち、生きるのが辛い気持ちとどう付き合うかを、魂を込めて書きました。Amazonのレビューも、私は本当に何度も見ています。短くても構いません。率直な感想を書いていただけたら、励みになります。

それでは、明日も19時にお会いしましょう。精神科医の芳賀高浩でした。さよなら。

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