烏谷昌幸×宮台真司×神保哲生:陰謀論を侮ってはならないこれだけの理由【ダイジェスト】
Автор: videonewscom
Загружено: 2025-09-13
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マル激トーク・オン・ディマンド 第1275回(2025年9月13日)
『陰謀論を侮ってはならないこれだけの理由』
ゲスト:烏谷昌幸氏(慶應義塾大学法学部教授)
司会:神保哲生、宮台真司
世界中で陰謀論が政治や社会に深刻な影響を与え始めている。一見荒唐無稽なトンデモ話にしか見えないような情報が、SNS上で集積され広く拡散されることで、実際の市民生活や一国の国政選挙にまで影響を及ぼし始めているのだ。もはや世界は現実の世界とパラレルワールドの識別がつかないところまで来ていると言っても過言ではないかもしれない。
著書『となりの陰謀論』の中で陰謀論を甘く見ることの危険性を指摘している慶應義塾大学法学部教授の烏谷昌幸氏は、陰謀論を「出来事の原因を誰かの陰謀であると不確かな根拠をもとに決めつける考え方」と定義した上で、素朴な陰謀論的思考は昔から人々の中にあったが、それがネット環境の中で過激なものに変異を遂げていると語る。烏谷氏によると、普段めったに起きないことが続けて起きると、人間の脳はそれをつなげて考えたくなり、偶然の一致に過剰な意味を読み込んでしまう習性がある。そこに、陰謀論が巧みに入り込んで来る余地ができるのだと言う。
しかし、陰謀論が広がっている状況を軽視するのは危険だと烏谷氏は言う。陰謀論の背景には人々の厳然たる剝奪感があるからだ。何か大事なものが奪われたという被害感情や、大事なものが奪われようとしているのではないかという不安や恐怖に支配されると、人間はその原因を説明する単純な答えに飛びつきたくなる。陰謀論の型は「信じられないほどの巨悪が糸を引いて公正な競争を歪めている」というものだが、そこには「悪いのはあなたではない」という隠れたメッセージがあるのだという。つまり、多くの人が陰謀論に引き寄せられることには原因があり、その原因に手当てしない限り、陰謀論は収まるどころか、更に広がっていくことが避けられない。
実際の陰謀論は多種多様だ。「選挙に不正があった」といった誰が信じてもおかしくないものもあれば、コロナやコロナワクチンが世界の人口を減らすための陰謀だと主張するものや、果てはオバマ元大統領もバイデン元大統領も本当はすでに処刑されていて偽物がゴムマスクを被っているのだといったものまである。その対象は宇宙人からディープステート、秘密結社、国際金融資本等々の伝統的なものから、最近では地球温暖化、パンデミックにワクチン、財務省の緊縮財政など多岐に渡る。中には一見すると誰も信じそうにない極端な陰謀論も多いが、そんなものでもYouTubeなどに出てくる関連動画を見続ける中で、無関係な点と点をつなぎ隠れていたものを暴き出すナラティブ(物語性)が徐々に説得力を持つようになり、気がつけばパラノイド性の強い陰謀論者になっている人が増えているのだと烏谷氏は言う。
世界的に見ると、陰謀論が最初に猛威を振るったのはアメリカだった。トランプ支持者の多くが、「2020年の大統領選挙には不正があった」、「ディープステートがアメリカを牛耳っている」、「非白人を意図的に移民させることで白人の政治力と文化を衰退させようという陰謀がある」といった陰謀論を主張している。トランプ大統領自身がこれらの陰謀論を本気で信じているかどうかは疑わしいが、政治的にはこれを積極的に利用している。実際、アメリカでは選挙不正を訴える人々が暴徒化し、2021年1月6日の議会襲撃事件まで引き起こすなど、陰謀論はもはや単なるトンデモ話にとどまらず、現実の世界に影響を与えている。
サイバーセキュリティが専門で、情報セキュリティ大学院大学客員研究員の長迫智子氏は、陰謀論は今や安全保障上の脅威になっていることを指摘する。人々の認知領域に攻撃を加える「認知戦」では、分かりやすく世界を説明する物語である陰謀論は広まりやすいため使いやすいのだ。
これまで日本語の壁に守られてきた日本も、生成AIの進歩によって誰でも自然な日本語が容易に書けるようになったことで、遅ればせながら外国勢力によるSNS上のディスインフォメーションの標的になり始めていることがようやく明らかになってきた。政府もようやくそれを認識し、遅ればせながら対策に乗り出し始めているが、明らかに後手に回っている。
さらに日本では国政選挙でも、陰謀論的な言説を党の主張に盛り込んだ参政党が大きく党勢を伸ばしており、もはや日本も陰謀論を対岸の火事と傍観していられる状態にはなくなっていると烏谷氏は言う。
陰謀論とは何か、陰謀論はどのようにして生まれるのか、なぜ人は陰謀論を信じてしまうのかなどについて、慶應義塾大学法学部教授の烏谷昌幸氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
【プロフィール】
烏谷 昌幸 (からすだに まさゆき)
慶應義塾大学法学部教授
1974年愛媛県生まれ。2003年慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は政治コミュニケーション研究。武蔵野大学現代社会学部、政治経済学部准教授などを経て21年より現職。著書に 『となりの陰謀論』、『シンボル化の政治学』、など。
宮台 真司 (みやだい しんじ)
社会学者
1959年宮城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授、東京都立大学教授を経て2024年退官。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。
神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京都生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。
【ビデオニュース・ドットコムについて】
ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(ベーシックプラン月額550円・スタンダードプラン1100円)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
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